一つでも徳を編みましょう
パウロ ハー ミン トゥ神父
爽やかな春の風をゆっくり楽しむ間もなく過ぎ去って、早くも初夏を感じる時も増えてきました。少し残念な気もしますが、バラの花を始めたくさんの花々が色取り取りに咲き出しています。そして若葉もグングン伸びて一層美しく、日々何があっても変わる事のない自然界の命の営みの確かさを感じませんか。
実際は大地震や山林火災など思いがけない出来事や気候変動に翻弄され、更に人間界の争いは止まる事なく終わりも見えず、暗澹たる思いの私たちですが、一体何に頼り励まされて生き続けていけばよいのでしょう。それでも特に新年度を迎えた今、多くの人々は新たな環境に少しずつ慣れ、祈りのうちに、期待と希望を持って進んでいるのです。
自然の花々が豊かに咲く5月をカトリックの典礼では「聖母の月」と定めています。聖マリアを、美しく香しい「主はあなたと共におられる」という信頼と愛に満ち溢れたバラの花として仰ぎながら、その花の一つひとつに祈りを託して冠を編むのが【ロザリオ】です。
教会の歴史の中で、中世時代に聖ドミニコはロザリオの祈りの力を借りて敵を追い出す事が出来ました。「ロザリオは社会を害する悪と戦うための霊的武器である」という聖レオ13世の言葉を通して、ロザリオの祈りの力を実感することができます。静かな、ささやかなロザリオの祈りによって聖母と共に神の救いの出来事を黙想し、一つひとつの救いに協力してくださった聖母に倣って、霊的花束を捧げましょう。
聖母は一つの冠ではなく、聖母の連願という伝統的な祈りの中で「聖母は天使の元后、使徒、殉教者、諸聖人などの元后」という12個の冠を受けるのに価する王女です。「一人の女が身に太陽をまとい、月を足の下にし、頭には十二の星の冠をかぶっていた。」(12:1)というヨハネの黙示緑によれば、この一人の女が聖マリアを指すのです。聖マリアは完全な者として12のすべての冠を手に入れられたものとして選ばれました。「信仰・希望・愛」という3つの対神徳「賢明・正義・勇気・節制」という4つの倫理徳「貞潔・清貧・従順」という3つの修道生活の誓願、そして「柔和・謙遜」という2つのイエスから教えられた徳のすべてを足した数字でもあるのです。
聖マリアの12の冠を編まれた12の徳を仰ぎ見ながら、聖マリアのように、神に信頼して心から喜びを持って私たち一人ひとりも、例え一つでも心に留めて実現するように、ロザリオの祈りを捧げましょう。何より皆さんが共にロザリオの祈りをご一緒に唱える事はどうでしょうか。実際、ベトナムの人々はグループで毎晩9時にオンラインでロザリオの祈りを唱えています。
「主の祈り」と「アヴェ・マリア」と「詠唱」の祈りを繰り返すとてもシンプルな祈りで、何処ででも誰でも心を一つにして祈れば、個人でも共同体でも、どれ程大きな力になり、真の平和に繋がる事でしょう。既に毎日祈っている方も大勢いらっしゃる事でしょうが、この5月を機会に日々の生活の中で、一層ロザリオの祈りを身近なものとして世界中に広がっていきますよう、祈って参りましょう。